フェルマータの"停留所"で、音楽は語りかける

こんにちは、Small ギター・ウクレレ教室の市岡です。

 

フェルマータについてのブログも今回で3回目となりました。これまで「意味」や「形」について触れてきましたが、今回はその“間”に何が宿るのかを考えてみたいと思います。

 

「フェルマータ」という言葉は、イタリア語で“停留所”を意味します。  

つまり、音楽の旅の途中で一度立ち止まる場所。  

その“停留所”で、演奏者は何を感じ、聴き手に何を語りかけるのでしょうか。

🎸本題1:音が消えるまで耳を澄ます”停留所”

ギターやウクレレなどの撥弦楽器では、音は弾いた瞬間から減衰していきます。  

私は、フェルマータの場面ではその減衰する音を逆手に取り、音が消えるくらいまで耳を澄ませることを心がけています。

 

「音を伸ばしたつもり」でも、客観的に聴くと全然伸びていない、伸び足りないことが多い。  

だからこそ、“音が消えるまで聴く”という姿勢が、フェルマータの本質に近づく鍵だと感じています。

 

まるで停留所で電車が完全に止まるまでの静かな時間。  

その“間”にこそ、音楽の余韻が漂い、聴き手の心に語りかけるのです。

🎬本題2:映画のワンシーンのような”停留所”

フェルマータの“間”は、映画の中でもよく見られる演出に似ています。  

例えば、セリフもなく日常の姿を遠くから見ているシーン。  

あるいは、場面転換で景色だけを長めに映すシーン。  

さらには、エンドロールの最後に「The End」と表示され、画面が暗くなる瞬間。

 

こうした“語らない時間”こそが、感情の余韻や物語の深みを生む。  

音楽でも、フェルマータの“停留所”は、前後の音を際立たせ、聴き手の想像力を刺激する時間なのです。

🎻本題3:ジャンルによって異なる”停留所”の存在感

クラシック音楽では、フェルマータはまさに物語の節目や感情の頂点に現れる“停留所”です。  

演奏者がその“間”にどんな感情を込めるかで、曲の印象が大きく変わります。

 

一方、ポップスやウクレレの楽曲では、曲の雰囲気を一貫して維持することが重視されるため、フェルマータのような“間”を感じる場面は少ないかもしれません。  

ですが、だからこそ、意図的に“停留所”を作ることで、演奏に深みや個性が生まれるとも言えます。

🕊️結び:音楽の”停留所”に、心を乗せて

フェルマータは、ただ音を伸ばす記号ではありません。

それは、演奏者が意味を込めることで初めて生きる“停留所”です。

その“間”に何を込めるかは、奏者の自由であり、責任でもあります。

音楽の旅の途中で立ち止まり、風景を眺め、感情を乗せる。そんな“停留所”を、ぜひ大切にしてみてください。

これまでフェルマータについて他にも、”フェルマータという言葉の意味”や”フェルマータの形の由来”についての記事があります。ぜひ合わせて↓のリンクから読んでみて下さい。

フェルマータ記号1つから”知る”ともっと音楽が面白いと感じられますよ!

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