
こんにちは、Small ギター・ウクレレ教室の市岡です。
📝テヌートって何?「保つ」という言葉の違和感
今回のテーマは「テヌート」。
テヌートは音楽用語辞典で「保つ」と説明されているのを見たとき、私は思わず首をかしげました。
“保つ”って、何を?どうやって?フェルマータのときもそうでしたが、音楽記号には言葉だけでは伝わらない“感覚”が潜んでいるようです。
テヌートという記号に込められた“保つ”という意味。それは音の長さだけではなく、音の存在感や意志を“保つ”ことなのかもしれません。まずはこの記号の基本的な意味から、少しずつ紐解いていきましょう。
📖テヌートの記号の形と語源
テヌート(tenuto)は、音楽記号のひとつで、音符の上または下に短い横棒「―」が付いています。
譜面上ではさりげなく見えるこの記号ですが、演奏者にとっては非常に繊細な指示を含んでいます。
語源はイタリア語の「tenere(保つ)」で、英語でも「tenacious(粘り強い)」などの言葉に派生しています。
つまり、テヌートは「音をしっかり保って演奏する」という意味を持つ記号なのです。
🎼"保つ"とは?音の存在感と意志を込める演奏
「保つ=長く伸ばす」ではなく、音符の本来の長さを守りながら、その音に“重み”や“意志”を込めて演奏することが求められます。
スタッカートのように音を短く切るのではなく、むしろ“そこに音がある”ことを強調するようなニュアンスです。
"強調する"といえばアクセント記号がありますね!声を張り強調するように。
🔊アクセントとの違い:静かに念を押すテヌート
過去に私がテヌートを理解できたかも?と思った瞬間があります。
アクセントが「明確な意思をもって強く訴える」記号だとするなら、テヌートは「明確な意思を突発的に訴えるのではなく、念を押すように静かに訴える」記号なのではないか。
そう思ったとき、テヌートの“保つ”という意味が腑に落ちたのを覚えています。
🎶演奏者の感性が生きる記号
テヌートの“保つ”という指示は、演奏者の感性に委ねられている部分が大きく、だからこそ、その音にどんな意味を込めるかは奏者次第。
音楽の流れの中で、ほんの一音にテヌートがあるだけで、曲の語り口が変わることもあります。
音楽との向き合い方としてのテヌート
この“保つ”という感覚は、演奏技術だけでなく、音楽との向き合い方そのものに関わってくるのかもしれません。