手続き記憶/前編「昨日できたのに今日はできない」――演奏に潜む"記憶の揺らぎ"とは

✒️はじめに:「昨日できたのに今日はできない」その理由とは?

こんにちは、Small ギター・ウクレレ教室の市岡です。

レッスンをしていると、よくこんな言葉を耳にします。

「昨日はできたのに、今日はうまくいかない…」

私自身も、何度もそう感じたことがあります。きっと、誰もが経験していることではないでしょうか。


この現象、実は“記憶”の仕組みが関係しているんです。

でもそれは、漢字や計算式のような“知識の記憶”とはちょっと違います。

演奏のような身体を使った動作は、「手続き記憶」と呼ばれる種類の記憶に分類されます。


言葉では説明できないけれど、身体が覚えていく。

自転車に乗れるようになるまでの過程や、泳げるようになるまでの感覚と、まさに同じなんです。


今回は前後編に分けて、まず前編は「昨日できたことが今日はできない」その理由を、記憶の仕組みから紐解いてみたいと思います。

🧠手続き記憶ってなに?――身体が覚える記憶のしくみ

「手続き記憶」とは、身体の動きや感覚を通して覚える記憶のことです。

知識として言葉で説明できるものではなく、繰り返しの中で“身体が覚えていく”タイプの記憶です。


たとえば——

・自転車に乗れるようになるまでの感覚

・泳ぎのフォームが自然に身につく過程

・卵を片手で割れるようになる料理の手さばき

・編み物で手が勝手に動くようになる瞬間

・ゲームのコントローラーを無意識に操作できるようになること

・車の運転で、気づけば一連の動作が自然にできていること


これらはすべて、言葉では説明しづらいけれど、身体が覚えていく「手続き記憶」の働きによるものです。

❓️なぜ“昨日できたこと”が“今日はできない”の?――記憶の揺らぎと脳の働き

手続き記憶は、脳の中でも「小脳」や「大脳基底核」といった部分が関係しています。

この記憶は、知識の記憶(エピソード記憶)よりも“定着に時間がかかる”という特徴があります。

 

つまり、昨日うまくできたとしても、それはまだ「仮の記憶」かもしれません。

睡眠や時間の経過によって、記憶が整理される過程で一時的に“取り出しにくくなる”ことがあるのです。

 

また、集中力や気分、環境の違いも影響します。

手続き記憶はとても繊細で、ちょっとした変化で「うまく引き出せない」ことがあるのです。

📖次回予告:記憶を安定させるためにできること

後編はどうすれば記憶を定着させられるのか、その対策・具体的な方法をお伝えします。

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